変形関節症の疾患感受性遺伝子

変形性関節症とは

関節軟骨が変性、破壊が起こり、関節痛や関節水腫、可動域制限などが起こる、加齢に伴う退行性疾患であり、中高年の多くが罹患します。

変形性膝関節症、変形性股関節症、変形性腰椎症、母指CM関節症、へバーデン結節、ブシャール結節、関節リウマチなどがあります。

その中でもっとも多いとされている変形性膝関節症は全国で800万人を超えると推定されており、社会問題になっています。

最も多い年齢は60歳前後で、誘因無く、膝の痛みや運動障害などを訴えます。歩き出そうとすると痛くなるけど、歩いていると楽になる、膝のこわばり感、というのがよくある症状です。

膝関節を代表とする変形性関節症ですが、最近では遺伝的要因が急速に明らかになってきているようです。

標準整形外科学 第11版によると

「近年、日本人における通常の変形性膝関節症や変形性股関節症の疾患感受性遺伝子が相次いで発見され、変形性関節症の発症にかかわる遺伝的要因が急速に明らかになっている。すでにアスポリン、GDF5、DVWAなどの遺伝子が変形性関節症と関連することが明らかにされており、これらの遺伝子産物が軟骨の分化・形成や基質産生、代謝などに関与し、変形性関節症の発症にかかわることが解明されつつある」

と記載されています。

全国で800万人を超えると言われているに加えて、遺伝的要因があり、高齢化社会となると・・・・・

ますます、これから変形性膝関節症の患者様は増えていくことが想像できます。

当院にも変形性膝関節症、変形性股関節症、母指CM関節症などと病院で診断を受けた患者様がおられます。

そのような患者様は

「もう変形しているからどうしようもできない」

とおっしゃるのですが、確かに変形は治すことはできませんが

【今よりも痛みを軽減させて、日常生活を楽に過ごす】

ということは、治療をすれば十分可能です。

ただ、膝の状態や患者様の状態にも個人差があるので、一概に「必ず良くなる」とは断言できないですが

かなりの確率で良くなることが多いです。

どのような痛みや症状、特に慢性痛の方の治療で大事になるのが

【痛い部位以外の動きは正常か?】

ということです。

もちろん痛い部位、局所を診る必要性はあるのですが、局所だけ悪い方は、慢性化しないことが多いように思われます。

【身体のどこかにその痛みを慢性化させている他の悪い部位がある】

というのが当院で治療できる範囲の慢性痛をお持ちの方の大きな特徴の1つになります。

そういった原因を探っていき、治療することが大切になります。

【たとえ関節の変形があっても、痛みを減らすことができる】

ということをもっとみなさんに知っていただきたいです。