腰椎椎間板ヘルニアの真実

慢性腰痛をお持ちの方で、病院で「腰椎椎間板ヘルニア」と診断され当院に来院される方は非常に多いです。

そもそも椎間板とは?

背骨と背骨の間にあるクッションみたいなものです。

上下の背骨を連結することによって、脊椎の支持性と運動性を担っています。また、荷重や衝撃の吸収や緩衝の機能も併せ持っています。

腰椎だけでなく、頸椎、胸椎にも存在します。

次にヘルニアとは?

ラテン語で「脱出」という意味のherniaが語源と言われています。

本来の位置から脱出している状態をヘルニアと言います。

「脱腸」と呼ばれる、本来お腹の中に納まっている腸が皮膚の下に脱出する病気があるのですが

この病気を「鼠経ヘルニア」と言います。

つまり「腰椎椎間板ヘルニア」とは

本来腰椎と腰椎の間に納まっているはずの椎間板が脱出したことを言います。

ここで注意したいのが

「痛い」=「ヘルニア」ではないという事です。

ヘルニアは椎間板が脱出している状態を指します。

標準整形外科学第11版によると

「ヘルニアの腫瘤が神経根を圧迫しても、疼痛を惹起するとは限らないことに留意する必要がある。疼痛の発生には椎間板のによる機械的圧迫以外に様々な要因が関与している。」

との記載があります。

また、患者様の中にもいらっしゃるのですが

「ヘルニア」=「手術」と思われる方も多いのですが

同じく整形外科学第11版によると

「通常、ほとんどの患者は3ヶ月以内に保存療法で軽快する。椎間板ヘルニアの大半、特に硬膜外腔に脱出したヘルニア腫瘤は周囲に肉芽が形成されその肉芽から遊走した貪食細胞によって貪食され、ほとんどが3ヶ月で消失する。このヘルニア腫瘤の消失が、保存療法に奏功する理由の一つである。」

との記載があります。

分かりやすく言うと、傷口が治るようなプロセスでヘルニアが消失することがあるという事です。

そのため、腰椎椎間板ヘルニアと診断され、3ヶ月以上痛みが続いている患者様は

ヘルニア以外の原因で腰痛が起こり、慢性腰痛となっていることが考えられます。

そういった患者様は、整体や鍼灸などの治療を受けると腰痛が軽快することがよくあります。

なので「腰椎椎間板ヘルニア」と診断されたとしても、まだまだ痛みが軽快する可能性が十分にあるということです。

しかし、本当に手術しないといけないかもしれない腰椎椎間板ヘルニアもあります。

なので、念のため病院でMRIなどの画像検査をしていただくことをお勧めいたします。

当院でも簡易な検査を行い、ヘルニアの可能性があると判断した場合には、病院で検査することをお勧めしています。

「ヘルニア」というとなんか恐ろしい感じがしますが、正しい知識があれば恐れるに足らずです。

みなさんも正しい知識をつけていきましょう。